アメリカの片田舎で病気の祖父を介護しながら暮らす青年キリアン・マドックス。
低収入で友人も恋人もおらず孤独な毎日を送っているが、彼には揺るぎない<夢>があった。一流ボディビルダーになり、その鍛え上げた肉体で雑誌の表紙を飾ることだ。すべてを捧げ過酷なトレーニングと食事制限に打ち込むが、身体は悲鳴をあげ、社会の不条理と孤立が彼の精神を蝕んでいく。
そしてある事件を機に、純粋な夢は狂気へと変貌する…。
傑作
強烈すぎる!息をのんだ
痛々しいほどにリアル
こんなにも格別な映画を
スクリーンで観られるなんて幸せだ!
随所で『タクシードライバー』と比較されているが、
メジャース演じるキリアン・マドックスと比べてしまうと、
トラヴィス・ビックルの支配力・気力・決意も
彼の4分の1程度にすら思えてくる。
何をしても報われない、社会に理解されない、
と感じている人を理解しようとする映画。
鋭い緊迫感と、強烈な絶望感が張り詰めている。
ジョナサン・メジャースの
一世一代の演技はまさに驚異的だ。
どうしても目が離せない。
演技の領域を超えてみせるほんの一握りの俳優たち…
デンゼル・ワシントン、ダニエル・デイ=ルイス、
クリスチャン・ベールを彷彿とさせる演技だ。
『タクシードライバー』や
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のような
熱狂が漂う、稀有な作品。
あまりに凄絶な筋トレシーンと観る者を圧倒する殺気に満ちた熱演で、予告編が公開されるやSNSから一気に火が付き、全米で大熱狂を巻き起こした本作。
美しくも破滅的な不穏さを放つ映像と、人間の心の奥底まで潜り込んでゆく容赦のない心理描写は、大手海外メディアで「『ジョーカー』のような鋭さ(The Guardian)」、「『タクシードライバー』のトラヴィスを超えた(IndieWire)」と称賛を浴びた。
監督・脚本は、ブレイク前夜のティモシー・シャラメとマイカ・モンローを主演に迎えた『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』で鮮烈にデビューした、ハリウッドきっての若手注目株イライジャ・バイナム。脚本家として数々の話題作を手掛けてきた彼が、長編監督2作目であり「自分が本当に撮りたいものが何か分かった」と語る本作で絶賛を集め、確固たる地位を築きあげた。
製作は『ナイトクローラー』や『少年は残酷な弓を射る』のプロデューサーであるジェニファー・フォックスと『ナイトクローラー』の監督であるダン・ギルロイが務め、スリリングで過激なモラルに挑むヒューマンドラマの名手たちが最強のタッグを組み、本作で観客に新たなる“極限”のその先を見せる。
そして、主演のジョナサン・メジャースがハードな肉体改造を重ね、プロ顔負けの驚異的な肉体美を披露。強靭な肉体と脆く危うい心を併せ持つ、誰もが戦慄しながらも共感せずにはいられない主人公を全身全霊で演じ切った。
日本語字幕を監修したのは、IFBB(国際ボディビルディング・フィットネス連盟)プロボディビルダーの山岸秀匡。
数々の大会で成功を収め、日本の誇るボディビルダーとしてアメリカを中心に活躍中の山岸の協力によって、本場アメリカのボディビル界のリアルを目撃できる最強の映画体験が実現可能となった!
アメリカの片田舎で病気の祖父を介護しながら暮らす青年キリアン・マドックス。
低収入で友人も恋人もおらず孤独な毎日を送っているが、彼には揺るぎない<夢>があった。一流ボディビルダーになり、その鍛え上げた肉体で雑誌の表紙を飾ることだ。すべてを捧げ過酷なトレーニングと食事制限に打ち込むが、身体は悲鳴をあげ、社会の不条理と孤立が彼の精神を蝕んでいく。
そしてある事件を機に、純粋な夢は狂気へと変貌する…。
アメリカ、マサチューセッツ州出身の脚本家・監督。20代で初執筆脚本がハリウッド・ブラックリスト(映画化有望脚本リスト)にピックアップされ一躍注目を浴びる。2017年にティモシー・シャラメとマイカ・モンローを主演に迎えた『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』で監督デビュー。プレミア上映されたサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)でナラティブ・スポットライト部門の観客賞を受賞し、全米配給権をA24が獲得し大きな話題を呼んだ。2023年にVariety誌の「注目すべき10人の監督」に選出。
数々のアカデミー賞®ノミネート作品を手掛けてきたプロデューサー。主な作品はジュリア・ロバーツがアカデミー賞®主演女優賞を受賞した『エリン・ブロコビッチ』(2000)や、ジョージ・クルーニー監督・主演作『グッドナイト&グッドラック』(2005)、トニー・ギルロイ監督作『フィクサー』(2007)、スティーヴン・ソダーバーグ監督作『インフォーマント!』(2009)、リン・ラムジー監督作『少年は残酷な弓を射る』(2011)、ダン・ギルロイ監督作『ナイトクローラー』(2014)、リドリー・スコット監督作『最後の決闘裁判』(2021)など。
脚本家・監督・プロデューサー。監督・脚本を務めた『ナイトクローラー』(2007)でインディペンデント・スピリット賞の脚本賞を受賞し、第87回アカデミー賞®の脚本賞にノミネートされた。脚本を手掛けた主な作品に『落下の王国』(2006)、『リアル・スティール』(2011)、『ボーン・レガシー』(2012)、『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)など。
『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』(2019)でインディペンデント・スピリット賞の助演男優賞にノミネートされ一躍注目を浴び、スパイク・リー監督作『ザ・ファイブ・ブラッズ』(2020)など話題作に出演。マーベルのシリーズ「ロキ」(2021、2023)に登場し、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023)では征服者カーンとしてヴィランに抜擢された。『クリード 過去の逆襲』(2023)では主人公の幼馴染役を演じている。
ヒュー・グラントとドリュー・バリモア主演の『ラブソングができるまで』(2007)で映画デビュー。『Swallow/スワロウ』(2019)で主演・製作総指揮を務める。主な作品に『マグニフィセント・セブン』(2016)、『ガール・オン・ザ・トレイン』(2016)、『悪魔はいつもそこに』(2020)、『ヒルビリー・エレジー』(2020)、『シラノ』(2021)、『ティル』(2022)など。
『Jean of the Joneses(原題)』(2016)で長編映画デビュー。『ホワイト・ボーイ・リック』(2018)、ライリー・キーオと共に主役を務めた『Zola ゾラ』(2021)、アカデミー賞®ノミネート作『マ・レイニーのブラックボトム』(20)、『ビバリーヒルズ・コップ: アクセル・フォーリー』(2024)など話題作に出演。2022年にはケンドリック・ラマーのアルバム『Mr. Morale & The Big Steppers』に参加するなど、多方面で活躍している。
俳優、ボディビルダー、モデル。世界的なボディビル大会「ミスター・ユニバース」で4回優勝した経歴を持つ。これまでフィットネス雑誌をはじめ400誌以上の雑誌の表紙を飾り、フィットネス・モデル・オブ・ザ・イヤーを7回受賞。テレビシリーズ「アメリカン・グラディエーター」(2008)で剣闘士タイタン役、ウェブドラマ「Epic Rap Battles of History(原題)」で超人ハルク役を演じるなど、俳優としても活躍。
筋肉というものを最も醜く、そして悲しく描いた作品でした。
キツすぎるトレーニング、徹底した食事管理。
必死に何かになろうとしている姿は美しいはずなのに、この世で最も虚しい光景でした。
内容も筋肉も魅了された作品です。
自分も主人公と同じく、孤独に筋トレを続けてきたので観ている間ずっと胸が痛かったです。
でも、こんなに胸が熱くなったのは初めてでした。
愛情に飢え、社会で上手く生きて行けず、それでも奮闘していく狂気の男。
その姿がボディビルを通して描かれていく。
ストーリーだけでなく、俳優陣の卓越した演技力にも脱帽である。
すべてを賭けて自分と向き合い、生真面目さゆえに崩れていく人生、そのリアルが胸に刺さる。
同時に、役のために創り込まれた俳優の身体が、この映画をより深く、より重く映し出している。
夢を追う熱は時に自分を壊す。孤独と渇望が胸を刺す。
それでも夢を追い続け、変わっていく人間模様。
「もっと外に出なよ」という言葉が忘れられない。
光り輝く憧れの筋肉に触れた瞬間、男の世界はひっくり返る。
筋肉を愛し筋肉に嫌われる孤独な男は、絶望を彷徨い歩いた果てに筋肉に救われる。
脳みそを筋肉に全変換して見て欲しい。衝撃を受けるほど哀しく美しい筋肉映画
主人公キリアンが無意識に放つ絶望にまみれたSOSサインは、人々から「キミ面白いね」の一言で片付けられてしまう。
この致命的な〝届かなさ〟は、まるで他者への無責任な言及が蔓延する現代社会の写し鏡のようだ。
純粋で傷ついた魂がどこへ辿り着くのか、辛くても見届けなければならない。
これはきっと、僕らの話でもあるから。
悪人には悪意があるが、こやつには悪意がないうえに健気。それは、強烈に恐ろしい!
己の肉体に突き刺さる他者の視線。
その光はあまりにも眩しく、その闇はブラックホールのように深い。
暗黒をさまよう筋肉の物語。
肉体=夢にしがみつき続けた彼が到達したのは、
社会的には破滅でも、内側では確かな“成功”だった。
人間の執念と孤立の行き着く先を、容赦なく描ききっている
身体的な強さと精神的な強さが比例するとは限らない。
胸に抱えた“孤独” と“狂気” に蝕まれていくボディビルダーがたどり着く果て、その境地に魅せられた。
約2時間、常に破裂寸前の風船が近くにいるみたいな感覚を味わえる。
ジョナサン・メジャースの怒りと焦燥を抱えた表情が凄まじい。