サントメール ある被告

サントメール ある被告 出演:カイジ・カガメ、ガスラジー・マランダ、ロベール・カンタレラ 原題:Saint Omer|2022|フランス|フランス語|123分|カラー|G|字幕:岩辺いずみ|字幕監修:金塚彩乃|配給:トランスフォーマー © SRAB FILMS – ARTE FRANCE CINÉMA – 2022

7.14 [金] Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー
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アリス・ディオップ監督来日決定!
ABOUT THE CINEMA
この映画はセイレーンのように私を岩礁へ呼び寄せ、魅惑的で、かつ胸が張り裂けるような物語で、私を催眠術にかける。スクリーンが溶けて消えていくように感じ、登場人物たちの境遇に入り込み、それによって自分が永遠に変わったのを感じた。つたない意見だが、『サントメール ある被告』は、まさにここ10年のフランス映画で最もパワフルな映画のひとつ。いつかディオップ監督に演出されたいと願い、夢見るばかりだ。
     ケイト・ブランシェット(俳優/第79回ヴェネチア国際映画祭女優賞『TAR/ター』)
美しく、洞察力に満ちている。文化や階級、人種間のインタラクション(相互の影響)を的確に深く捉えている。呪術の比喩に深い衝撃を受け、キメラを語るくだりでは感動の涙を流した。あらゆる場面で、驚かされ、喜び、好奇心を抱かされた。この作品のとりこになってしまったのだ。圧倒的な成果だ。
     キウェテル・イジョフォー(俳優/『それでも夜は明ける』)
『サントメール ある被告』を見ることは、1975年に『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』を見ることに比べられる。人は映画の詩を見ていることに気づく。アリス・ディオップ監督の言語は、映画言語の歴史だけでなく、彼女自身の歴史に属するものであり、それは危険であり、かつ輝かしいものなのだ。
     セリーヌ・シアマ(映画監督/『燃ゆる女の肖像』)
上映後、審査員たちの議論は熱を帯び、情熱的なものになった。映画の質の高さに関しては、即座に満場一致だったので、議論はそのことについてではなく、この映画が私たちに投げかけた問いの力についてだった。この映画の重要性は、その反響によって測られるのだ。アリス・ディオップ監督に贈られた銀獅子賞は、この勇気と過激さ、高いインスピレーションに満ちた長編デビュー作に対する私たち審査員の賞賛の証だった。 
     オードレイ・ディヴァン(映画監督/『あのこと』/第79回ヴェネチア国際映画祭審査員)
アリス・ディオップ監督は、複雑さと思いやりをもって、法廷劇というものを再定義している。彼女は観客を陪審員の立場だけでなく、有罪判決を受けた者の立場にも立たせる。『サントメール ある被告』は斬新な映画だ。容赦なく詩的であり、抑制され、完全に魅惑的な作品なのだ。 
     テッサ・トンプソン(俳優/『クリード 過去の逆襲』)
この映画は、極めて稀な周波数で振動しているのだ。真摯で、具体的なイメージの上に成り立つ崇高な表現。揺るぐことがなく、勇敢。ガスラジー・マランダは信じられないほどに素晴らしい。この作品を前に、私は茫然自失となった。
     バリー・ジェンキンス(映画監督/『ムーンライト』)
これは崇高な映画だ。『サントメールある被告』を観た瞬間、自分が偉大な映画作家の手の中にいることを確信した。ディオップ監督は主人公と観客に大きな敬意を表しながら、深い複雑さを持つ物語を見事に編みあげた。私はこの映画について考えることを、やめられないでいる。
     ローラ・ポイトラス(映画監督/第79回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞『All the Beauty and the Bloodshed』)
シネアストとして、アリス・ディオップの声は新しく、待ち望まれた、必要不可欠なものなのです。
     ジュリアン・ムーア(俳優/第79回ヴェネチア国際映画祭審査員長)
この映画はセイレーンのように私を岩礁へ呼び寄せ、魅惑的で、かつ胸が張り裂けるような物語で、私を催眠術にかける。スクリーンが溶けて消えていくように感じ、登場人物たちの境遇に入り込み、それによって自分が永遠に変わったのを感じた。つたない意見だが、『サントメールある被告』は、まさにここ10年のフランス映画で最もパワフルな映画のひとつ。いつかディオップ監督に演出されたいと願い、夢見るばかりだ。
     ケイト・ブランシェット
(俳優/第79回ヴェネチア国際映画祭女優賞『TAR/ター』)
アリス・ディオップ監督は、複雑さと思いやりをもって、法廷劇というものを再定義している。彼女は観客を陪審員の立場だけでなく、有罪判決を受けた者の立場にも立たせる。『サントメール ある被告』は斬新な映画だ。容赦なく詩的であり、抑制され、完全に魅惑的な作品なのだ。 
     テッサ・トンプソン
(俳優/『クリード 過去の逆襲』)
美しく、洞察力に満ちている。文化や階級、人種間のインタラクション(相互の影響)を的確に深く捉えている。呪術の比喩に深い衝撃を受け、キメラを語るくだりでは感動の涙を流した。あらゆる場面で、驚かされ、喜び、好奇心を抱かされた。この作品のとりこになってしまったのだ。圧倒的な成果だ。
     キウェテル・イジョフォー
(俳優/『それでも夜は明ける』)
この映画は、極めて稀な周波数で振動しているのだ。真摯で、具体的なイメージの上に成り立つ崇高な表現。揺るぐことがなく、勇敢。ガスラジー・マランダは信じられないほどに素晴らしい。この作品を前に、私は茫然自失となった。
     バリー・ジェンキンス
(映画監督/『ムーンライト』)
『サントメール ある被告』を見ることは、1975年に『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』を見ることに比べられる。人は映画の詩を見ていることに気づく。アリス・ディオップ監督の言語は、映画言語の歴史だけでなく、彼女自身の歴史に属するものであり、それは危険であり、かつ輝かしいものなのだ。
     セリーヌ・シアマ
(映画監督/『燃ゆる女の肖像』)
これは崇高な映画だ。『サントメールある被告』を観た瞬間、自分が偉大な映画作家の手の中にいることを確信した。ディオップ監督は主人公と観客に大きな敬意を表しながら、深い複雑さを持つ物語を見事に編みあげた。私はこの映画について考えることを、やめられないでいる。
     ローラ・ポイトラス
(映画監督/第79回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞『All the Beauty and Bloodshed』)
上映後、審査員たちの議論は熱を帯び、情熱的なものになった。映画の質の高さに関しては、即座に満場一致だったので、議論はそのことについてではなく、この映画が私たちに投げかけた問いの力についてだった。この映画の重要性は、その反響によって測られるのだ。アリス・ディオップ監督に贈られた銀獅子賞は、この勇気と過激さ、高いインスピレーションに満ちた長編デビュー作に対する私たち審査員の賞賛の証だった。 
     オードレイ・ディヴァン
(映画監督/『あのこと』/第79回ヴェネチア国際映画祭審査員)
シネアストとして、アリス・ディオップの声は新しく、待ち望まれた、必要不可欠なものなのです。
     ジュリアン・ムーア
(俳優/第79回ヴェネチア国際映画祭審査員長)
INTRODUCTION
実際の裁判記録をそのままセリフに。斬新で緊迫感漲る〈2022年最高のフランス映画〉。
実際の裁判記録をそのままセリフに。斬新で緊迫感漲る〈2022年最高のフランス映画〉。
第79回ヴェネチア映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)と新人監督賞を受賞し、世界の注目を集めた本作。監督は、セネガル系フランス人女性監督アリス・ディオップ。実際の裁判記録をそのままセリフに使用する斬新な手法と巧みな演出、俳優たちの圧倒的な演技が絶賛された。撮影監督は『燃ゆる女の肖像』のクレール・マトン。脚本にはゴンクール賞作家のマリー・ンディアイが参加。〈2022年最高のフランス映画〉との呼び声も高い本年度屈指の必見作である。
STORY
幼い娘を殺害した罪に問われた若い女性。彼女は本当に我が子を殺したのか──?
幼い娘を殺害した罪に問われた若い女性。彼女は本当に我が子を殺したのか──?
フランス北部の町、サントメール。若き女性作家ラマは、ある裁判を傍聴する。被告は、生後15ヶ月の娘を海辺に置き去りにし、殺人罪に問われた女性ロランス。セネガルからフランスに留学し、完璧な美しいフランス語を話す彼女は、本当に我が子を殺したのか?被告本人の証言、娘の父親である男性の証言、何が真実かわからない。そしてラマは偶然、被告ロランスの母親と知り合う。彼女はラマが妊娠していることを言い当てる。裁判はラマに、“あなたは母親になれる?”と問いかける……果たしてその行方は──。
DIRECTOR
Alice DIOP
監督:アリス・ディオップ
1979年生まれ。フランスの映画監督、脚本家。
ソルボンヌ大学で歴史と視覚社会学を学んだ後、ドキュメンタリー映画作家としてキャリアをスタート。短編・中編映画が複数の映画祭で入選・受賞し、2016年の『Vers la Tendresse』はフランスのセザール賞で最優秀短編映画賞に選ばれた。2021年の長編ドキュメンタリー『私たち』は、同年のベルリン国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞とエンカウンターズ部門最優秀作品賞を受賞。本作が長編劇映画デビュー作となり、2022年ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)と新人監督賞に輝いた。
STAFF
共同脚本・編集
アムリタ・ダヴィッド
Amrita DAVID
2000年から編集者として活動し、アリス・ディオップ監督作品は2016年の『Vers la Tendresse』、『La Permanence』、2021年の『私たち』で編集を手掛けている。編集以外にも重要な制作パートナーとして、ディオップ作品に貢献しており、本作で初めて共同脚本にクレジットされた。本作ではセザール賞やリュミエール賞など数々の映画賞で脚本賞にノミネート。セビリア国際映画祭ではアリス・ディオップ、マリー・ンディアイとともに脚本賞を受賞している。
共同脚本
マリー・ンディアイ
Marie NDIAYE
1967年、フランスのロワレ県ピティヴィエに生まれる。現代フランス文学の最重要人物の一人と称される小説家。母はフランス人、父はセネガル人。セネガルに帰国した父と離れ、フランスで育つ。17歳で処女長編小説「Quant au riche avenir」を発表。2001年には長編「ロジー・カルプ」でフェミナ賞を、2009年には「三人の逞しい女」でゴンクール賞を受賞。2020年には、アニー・エルノー、ジャン・エシェノズ、パスカル・キニャールに続いて、作家を表彰するマルグリット・ユルスナール賞も受賞。カサヴェテスを愛する映画ファンとしても知られ、クレール・ドゥニ監督の『ホワイト・マテリアル』(2008)で初めて映画脚本を手掛ける。本作ではセザール賞やリュミエール賞など数々の映画賞で脚本賞にノミネートされ、セビリア国際映画祭ではアリス・ディオップ、アムリタ・ダヴィッドとともに脚本賞を受賞。
主な小説(日本語訳書があるもののみ) 訳者/出版社を表記
2006
「みんな友だち」笠間直穂子訳、インスクリプト
2008
「心ふさがれて」笠間直穂子訳、インスクリプト
2008
「ねがいごと」笠間直穂子訳、駿河台出版社
2010
「ロジー・カルプ」小野正嗣訳、早川書房
2012
「三人の逞しい女」小野正嗣訳、早川書房
2013
「パパも食べなきゃ」根岸徹郎訳、れんが書房新社
撮影
クレール・マトン
Claire MATHON
1975年生まれ。パリ国立高等学校ルイ・リュミエールで映画を学ぶ。2013年にアラン・ギロディー監督の『湖の見知らぬ男』(L'inconnu du lac/東京国際映画祭上映のみ)でセザール賞撮影賞ノミネート。2019年にはカンヌ国際映画祭グランプリ受賞となったNetflix映画『アトランティックス』でロサンゼルス映画批評家協会賞撮影賞を受賞。同年、セリーヌ・シアマ監督の『燃ゆる女の肖像』でセザール賞最優秀撮影賞をはじめ、数々の撮影賞を受賞する。シアマ監督の『秘密の森の、その向こう』(2021)も手掛けている。他の作品にカトリーヌ・コルシニ監督の『黒いスーツを着た男』(2012)、マイウェン監督の『モン・ロワ愛を巡るそれぞれの理由』(2015)、ピエール・ゴドー監督の『今さら言えない小さな秘密』(2018)、パブロ・ラライン監督の『スペンサー ダイアナの決意』(2021)など。
製作
トゥフィク・アヤディ , クリストフ・バラル
Toufik AYADI, Christophe BARRAL
二人は2015年にSRAB FILMSを創立。フィクションとドキュメンタリーの両方の制作において、重要な作家を手掛ける。2019年、ラジ・リ監督の長編劇映画デビュー作『レ・ミゼラブル』をプロデュースし、カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞。アカデミー賞®のフランス代表にも選ばれ、国際長編映画賞にノミネート。セザール賞最優秀作品賞にも輝いている。
CAST
ラマ
Rama
ロランス・コリー
Laurence Coly
裁判官
The Judge
ヴォードネ(ロランスの弁護士)
Ms. Vaudenay (Laurence Coly’s lawyer)
リュック・デュモンテ
Luc Dumontet
ラマ:カイジ・カガメ
Rama:Kayije KAGAME
1987年スイスのジュネーブ生まれ。リヨンのENSATT(国立高等演劇学校)で学ぶ。ニューヨークのウォーターミルセンターの芸術監督ロバート・ウィルソンに見出され、ウォーターミル・インターナショナル・サマー・フェスティバルに参加。数多くのパフォーマンス、サウンドピース、映画作品、インスタレーションを手掛けるクリエイターであり、現在、スイスの映画監督ヒューゴ・ラディと共同監督を務める映画プロジェクトを準備中。本作が長編映画デビュー作。
ロランス・コリー:ガスラジー・マランダ
Laurence Coly:Guslagie MALANDA
1990年生まれ。幼い頃から映画や演劇に興味を持つ。大学では美術史の学位を取得。2014年にジャン=ポール・シヴェラック監督の『Mon amie Victoria』で名優パスカル・グレゴリーと共演してタイトルロールを演じ、長編映画デビュー。その演技が国際的にも評価されたが、その後、“黒人のフランス女性”というステレオタイプな役柄を拒み、女優業から離れ、アート・キュレーターとして働く。2018年にはアメリカのテレビシリーズ『ロマノフ家の末裔〜それぞれの人生〜』に端役で出演。友人であるアリス・ディオップ監督に請われ、本作で久しぶりにスクリーンに復帰。世界中で賞賛され、セザール賞有望若手女優賞にもノミネートされた。次回作はベルトラン・ボネロ監督の『La Bête 』(2023)でレア・セドゥらと共演している。
裁判官:ヴァレリー・ドレヴィル
The Judge:Valérie DRÉVILLE
1961年、映画監督ジャン・ドレヴィルと女優ヴェロニク・デユシャンの間に生まれる。コメディ・フランセーズにも参加するなど、長い劇場のキャリアを持ち、“パブリック・シアターのミューズ”とも呼ばれる名女優。映画ではアルノー・デプレシャン監督の『魂を救え!』(1992)で演じた主人公マチアスのかつての恋人ナタリー役が印象深い。
ヴォードネ(ロランスの弁護士):オーレリア・プティ
Ms. Vaudenay (Laurence Coly’s lawyer):Aurélia PETIT
1993年から多数の映画やテレビドラマに出演。ミシェル・ゴンドリー監督の映画『恋愛睡眠のすすめ』(2005)で脇役ながら強い印象を残す。他の映画作品に、ヴァレリー・ドンゼッリ監督の『Marguerite & Julien』(2015)、アンヌ・ヴィラセック監督の『Week-ends』(2014)、マチュー・アマルリック監督の『さすらいの女神たち』(2010)など。
リュック・デュモンテ:グザヴィエ・マリ
Luc Dumontet:Xavier MALY
1980年代から舞台、映画に活躍。日本でも公開されたグザヴィエ・ボーヴォワ監督のカンヌ国際映画祭グランプリ受賞作『神々と男たち』(2010)でフランス人修道士の一人を演じ、ランベール・ウィルソン、マイケル・ロンズデール、オリヴィエ・ラブルダンらとともに絶賛された。
COMMENT
(敬称略・順不同)
衒いなく置かれるカメラは
気付けば見ているこちらまで撮り始める。
映画の外側に隠れていることは出来ないのだ。
飯岡幸子
(撮影監督/『偶然と想像』)
裁くのではなく、ただ耳を傾けること。
慈しむ母と支配する母のあいだで揺れる娘の耳に届くのは、
善悪の彼岸から聞こえてくる真実の声なのだろうか。
小野正嗣
(作家、仏文学者)
人種、性別、望まれる“私”から逃れようとするたびに
どんどん道が塞がれてしまった彼女のこと。
どんなに想像してもその心の深淵は見えない。
それでも他者をわかろうとすることを諦めたくない、
という希望が最後に残った。
川和田恵真
(映画監督/『マイスモールランド』)
『サントメール ある被告』の政治的な美学は、ほかの追随を許さない。
セリーヌ・シアマは
「これは私たちの時代の“ジャンヌ・ディエルマン”」と賛辞を送るが、
シャンタル・アケルマン同様、
今後間違いなくアリス・ディオップは
映画史で言及されつづけることになる。
児玉美月
(映画文筆家)
この作品はいい意味でアバンギャルドである。
かつて、この様な映画があっただろうか。
軽い眩暈が起きそうな経験をしてしまった。
北村道子
(スタイリスト)
もし私がこの裁判を取材するとしたら どう書くだろう?
裁判で明らかになったのは動機ではなく
社会における女性の現在地、そして孤独だった
高橋ユキ
(裁判傍聴人/ノンフィクションライター)
年齢、性別、国籍、人種などの
いくつかの属性が交差した複雑な情景が広がるこの映画を通して、
日本でもしばしば報道される「乳児を殺害した母親」の立場が
どのようなものであるか、どんな点が自分や周囲の出来事と
共通しているかを考えていきたい。
和田彩花
(アイドル)
この作品の人種的、社会的、歴史的、言語的な背景の複雑さの多くを、
日本に暮らす私が読み解くことは難しい。
けれども、子供を持つということの決して語られざる絶望、
多くの女性をのみこむ洞穴のような孤独、という点において、
この映画はあらゆる世界をつなげる細くて強い糸を持っている。
西川美和
(映画監督)
忙しいと、どうしても目が届かなかったり、
つい見逃さざるをえないことも多い。
それに慣れてしまわないと生きづらいから、いっそ見ないふりすらする。
ときには目に入るものを瞬時にジャッジし続ける快楽に溺れることもある。
そうした習慣がやがて誰かや自分自身を
致命的な不幸に追い込むことには薄々気がついているけれど、
つい目を背けてしまう。
この映画は、裁判所という空間を捉え直すことで、
「みること」と「誰かをジャッジすること」を切り離し、
わたしたちを勇敢にさせ、地獄から救い出そうとする。
三宅唱
(映画監督)
カメラは 被告席に立っている女性に向かっていてビクとも動かない
我々も被告を凝視し続けることになる
この作品は 実際にあった裁判の記録に沿って創られている
被告の女性は 生後15ヶ月の赤ん坊を渚に置き去りにしたのだ
2015年に起きた事件だった
被告を演じるガスラジーには、監督は一切の演出をしなかったと聞く
久米宏
(フリーアナウンサー)
「女が語る」ということの重要性と本質をスリリングに、
ハードボイルドに捉えた作品。
法廷で証言する被告、弁護士、裁判官の女性たちの顔と
言葉に釘付けになった。
山崎まどか
(コラムニスト)