Q:2005年にすでに映画の製作を考えていたというのは、とても興味深いですね。本作がパンデミックの影響をリアルタイムで捉える形になったことも大変印象的です。2020年、アムステルダムの風景は大きな変化を遂げ、ゴーストタウンのようになりました。この特殊な状況が、過去の亡霊を掘り起こすための強烈な舞台となり、まるで時間が止まったように感じられました。
スティーヴ・マックイーン(監督/以下、S):まさにそうでしたね。まるで、私たちがこの映画を撮っている間に、ひとつの時代が駆け巡ったかのようでした。COVID-19、ジョージ・フロイド、トランプ、そして気候問題への抗議運動。編集を始め、映像を見返すにつれ、この映画が、時代のドキュメントであり、その奇妙さと危うさを捉えていることは明らかでした。そして占領時代の物語も、よりタイムリーなものになったと感じました。
Q:ある意味で、2020年に起こったすべてのことは、1945年以降に築かれた世界の縮図のようです。脆弱な理想主義、憎悪、権力、破壊への衝動を正すことのできなかった私たちの失敗が、コロナ禍で頂点に達したかのようでした。また、アムステルダムでの抗議デモの中には、植民地主義や奴隷制の遺産など占領以前からの歴史の深い層が、いまだにこの街に影響を与えている様子も見受けられました。
ビアンカ・スティグター(原作/以下、B):それらのすべてが主に17~18世紀に建てられた都市であるアムステルダムで起こっています。つまり、この映画では、過去と現在が目に見える形でぶつかり合っているのです。
S:あらゆる過去と現在が交わっている。それは過去から学ぶということでもあります。ファシズム、人種差別、反ユダヤ主義が再燃する様子を目の当たりにしながら、占領と否認主義についての映画を作るというのは、とても不安な感覚でした。歴史が繰り返される可能性を思い出させられました。
Q:この映画には大作のようなスケールがありますね。4時間を超えるという大胆な選択ですが、もし半分の長さだったら、観る者に異なる印象を与えるかもしれません。この映画から受け取る重厚さは、物語が積み上げられ映像に重なり合っていくところにありますし、この長さのおかげで映画のもう一つのテーマである、「観客に自ら気づかせる」ということが可能になっていると思います。
S:この映画は「旅」である必要がありました。本作の物語の語り方に慣れてもらうには、時間をかける必要があると思ったのです。徐々に別のモードに入っていくような感じです。意識が集中するとき、漂うときがあっても全く問題ありません。ただインタビューを見ているのとはまったく違う体験なのです。
B:これだけ長い映画でも、観客はどれだけ多くのことが省かれているかに気づくはずです。物語がいかに広大であるか、すべてを知ることはできないのだと認識させられるのです。
圧倒的な映画。
極めて重要な映画だ。
魂を震わせる。
英雄的作品。