「Gather ye rosebuds while ye may(できる間に、つぼみを集めろ)」は、ホークのデビュー作でアカデミー賞を受賞した『いまを生きる』(89)の撮影中に若きホークが心に留めていた言葉である。ホークはその後30年の間に、数回のトニー賞とアカデミー賞のノミネートを経て、小説・脚本・監督などに挑戦するマルチなアーティストになった。
1994年のベン・スティラーのコメディ『リアリティ・バイツ』でポップカルチャーに入り込んだホークは、以降、『ドローン・オブ・ウォー』(14)、『プリデスティネーション』(14)、『パージ』(13)、『ガタカ』(97)、『大いなる遺産』(98)、『ハムレット』(00)、『クロッシング・デイ』(08)、『クロッシング』(00)、『フッテージ』(12)、『その土曜日、7時58分』(07)など50本以上の映画に主演している。
21歳の時、Malaparte Theatre Co.を設立。同社は5年以上続き、若いアーティストに工芸品を製作するための家を与えた。翌年の1992年、「The Seagull」でブロードウェイデビューを果たす。その後、「Henry IV」でリチャード・イーストンと共にブロードウェイに登場して以降、多くの舞台作品にも出演し、数々の賞を受賞。2007年、ダークコメディ「Things We Want」の初演でオフ・ブロードウェイ演出家デビューを果たした。2010年にはサム・シェパード作「A Lie of the Mind」を演出し、同作はドラマ・デスク・アワードにノミネートされたほか、ニューヨークタイムズ紙とザ・ニューヨーカー誌のトップ10入りを果たすなど高い評価を獲得。2012年、チェーホフ作「Ivanov」に主演。2013年、ベルトルト・ブレヒト作「Baal」のジョナサン・マーク・シャーマンによる脚色「Clive」で主演と演出を務めたほか、マクベス役で出演した「Macbeth」のリンカーン・センター劇場での公演を成功させた。
2001年、チェルシーホテルでの一日を5つの物語で描いた『チェルシーホテル』で監督デビューを果たす。デンゼル・ワシントンと共演したアントワーン・フークア監督の『トレーニング デイ』(01)では、アカデミー賞と全米映画俳優組合賞助演男優賞にノミネートされた。
『ファーストフード・ネイション』(06)、『ウェイキング・ライフ』(01)、『ニュートン・ボーイズ』(98)など、多くの作品でリチャード・リンクレイターと何度も一緒に仕事しており、彼らの最新の共作『6才のボクが、大人になるまで。』は、2014年サンダンス映画祭でプレミア上映された。6歳から18歳までの子供の人生を記録しながら、12年間にわたって断続的に撮影された同作は大絶賛を浴び、ホークは、アカデミー賞、全米映画俳優組合賞、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞、インディペンデント・スピリット賞、放送映画批評家協会賞、そしてゴッサム・インディペンデント・スピリット賞を受賞した。彼らのもう1つの傑作『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』とその続編の2作ではジュリー・デルピーと共演。3人は『ビフォア・サンセット』(04)と『ビフォア・ミッドナイト』(13)で共同執筆し、両方の脚本でアカデミー賞とインディペンデント・スピリット賞にノミネートされた。ホーク、リンクレイター、デルピーの3人はビフォアシリーズで、放送映画批評家協会賞からルイ13世ジーニアス賞を受賞。
伝説的なピアニストでピアノ教師のシーモア・バーンスタインの人生を追った『シーモアさんと、大人のための人生入門』(14)でドキュメンタリー監督デビューを果たし、同作はテルライド映画祭でプレミア上映された後、トロント国際映画祭にも出品された。
1996年に処女小説を発表、2002年には2作目の小説「Ash Wednesday」が出版されている。2015年、ホークは妻ライアン・ホークのイラストつき児童書「Rules for a Knight」(日本では「騎士の掟」のタイトルで2020年7月に発売)を発表。ニューヨークタイムズ紙のベストセラーとなった。
『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』(16)では実在の人物モード・ルイス(サリー・ホーキンス)を家政婦として雇う孤独な男を熱演。2016年は5つの主演作があり、イーサンが伝説的なジャズのトランペット奏者であったチェット・ベイカーを演じたロバート・バドロー監督の『ブルーに生まれついて』は、2015年のトロント国際映画祭で上映され、大絶賛を受けた。
その他の出演作に、2015年のトロント国際映画祭でプレミア上映されたコメディ『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』(16)、老舗の配給会社であったMGMのアイコン的作品のリメイクであるアントワン・フークワ監督作『マグニフィセント7』(16)、サウス・バイ・サウスウエスト映画祭でプレミア上映されたタイ・ウエスト監督の西部劇アクション『バレー・オブ・バイオレンス〈未〉』(16)などがある。
2018年には、ホークが脚本を手掛けた、カントリーウエスタンのミュージシャン、ブレイズ・フォーリーの生涯を描いた『BLAZE(原題)』の製作を終えた。最近の作品にジェシー・ペレーズ監督によるニック・ホーンビーの同名小説が原作のロマンチック・コメディ『15年後のラブソング』(18)、数々の映画賞を受賞したポール・シュレイダー監督作『魂のゆくえ』(18)などがある。現在はニューヨークに住み、結婚して4人の子供がいる。
アイスランドの『エネミーランド〈未〉』(88)で7歳のときに演技のキャリアを始める。それ以来、20を超える映画やテレビ番組に出演。2009年公開の『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』ヒロインのリスベット・サランデル役で絶賛され、世界的な注目を集める女優の一人となる。2017年、トミー・ウィルコラ監督『セブン・シスターズ』に出演し、ウィリアム・デフォー、グレン・クローズと共演。同作は人口過多のために家族が持つ子供を1人に制限されている世界という設定で、政府によって発見されるのを避けなければならない7つ子(すべてラパスが演じた)を描く。また、ミカエル・ハフストローム監督のスリラー『アンロック/陰謀のコード』(17)ではマイケル・ダグラス、オーランド・ブルームと共演。その後、ウィル・スミス、ジョエル・エドガートンとともに、デヴィッド・エアー監督のファンタジーアクションクライム『ブライト』(17)に出演。実話を基にしたヴィッキー・ジューソン監督のアクションスリラー『クロース:孤独のボディーガード』(19)では主演を務め、戦争地帯でテロや暗殺の注目を集める標的の保護を担うタフな女性ボディーガードを演じた。2021年春からは、マイケル・マン監督『Ferrari(原題)』の撮影がスタートする予定。ヒュー・ジャックマン演じるフェラーリの創業者エンツォ・フェラーリの妻リンダ役を演じる。
マーク・ストロング(グンナー)
MARK STRONG(Gunnar Sorensson)
近年、最も魅力的でカリスマ的な俳優の1人。近年の作品は『1917 命をかけた伝令』(19)、マシュー・ヴォーン監督『キングスマン:ゴールデンサークル』(17)、トーア・フレイザー監督『6日間』(17)。映画ファンたちは、ガイ・リッチー監督『シャーロック・ホームズ』(09)、『ロックンローラ』(08)、『リボルバー』(05)、リドリー・スコット監督『ロビン・フッド』(10)、『ワールド・オブ・ライズ』(08)など長年にわたって著名な作品で彼を見てきた。その他の出演作に、マーク・イライジャ・ローゼンバーグ監督『フォース・プラネット』(16)、リッチー・スマイス監督『ジャドットビルの包囲戦6日間の戦い』(16)、モルテン・ティルドゥム監督『イミテーションゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(14)、ジョン・マッデン監督、ジェシカ・チャステイン共演『女神の見えざる手』(16)、ホルヘ・ドラド監督『記憶探偵と鍵のかかった少女』(13)、ナエ・カランフィル監督『Closer to the Moon(原題)』(13)、エラン・クリーヴィー監督『ビトレイヤー』(13)などがある。「The Long Firm (原題)」(04)で、英国アカデミー賞にノミネート、ブロードキャスティング・プレス・ギルドの最優秀男優賞受賞。
ビー・サントス(クララ)
BEA SANTOS(Klara)
カナダ・オンタリオ州ハンツビルで生まれ育つ。彼女の父親は趣味で俳優をしており、母親はマドリード出身の画家。幼い頃から文化と芸術への愛情が育まれた。4歳のときに女優になることを決意し、その後も演技に対する愛情は続いた。モントリオールのマギル大学で英文学と美術史を専攻する傍ら、キャンパス内のシアターで演技の経験を積み、卒業後、プロとして演技のキャリアを追求するためトロントに移る。彼女の最初の注目すべきプロジェクトの1つは、自分を表現するのに苦労するアスペルガーの10代の少女を描いた「Bravofact short Iris(原題)」で主演を務めたこと。同作はカンヌのテレフィルムのショートフィルムコーナーで上映され、YouTubeの再生回数が多かったため、映画ネットワークでも上映された。2014年、ドイツ・カナダ合作の『Coconut Hero(原題)』の主演女優という長編映画で初めての大きな役を得た。2017年、SFスリラー『Darken(原題)』と『Darker Than Night(原題)』の2作でも主演を務めた。近年は、テレビ映画「A Very Country Christmas(原題)」に出演したほか、「ガールフレンド・エクスペリエンス」(09)、Huluドラマ「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」(17-)、『さようなら、コダクローム』(18)などの出演作がある。
クリストファー・ハイアーダール(マットソン)
CHRISTOPHER HEYERDAHL(Mattsson)
カナダ出身の映画・テレビ・舞台で活躍する俳優。映画『トワイライト』シリーズのヴァンパイア・マーカス役や、テレビドラマ「サンクチュアリ」(08-11)のジョン・ダリット役などで知られる。近年の映画出演作には『ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ』 (18)、『トーゴー』(19)がある。ドラマシリーズでは「トゥルーブラッド」(08-14)にレギュラー出演。エミー賞・ゴールデングローブ賞を受賞したスティーブン・スピルバーグ製作ミニシリーズ「INTO THE WEST イントゥー・ザ・ウエスト」(05)にも出演。
マーク・レンドール(エロヴ)
MARK RENDALL(Elov)
1988年カナダ・トロント生まれ。10歳で演劇デビューをして以来、様々な映画やテレビシリーズに出演している。出演作は『30デイズ・ナイト』(07)、『たった一人のあなたのために〈未〉』(09)、『チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室』(08)、『エクスプローディング・ガール〈未〉』(09)、「ハンニバル」(13-15)、「ベルサイユ」(15-18)などがある。
イアン・マシューズ(ハルステン)
IAN MATTHEWS(Halsten Vinter)
カナダ・カルガリー生まれ。出演作にはデヴィッド・クローネンバーグ監督『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(05)、ローラン・カンテ監督『フォックスファイヤ 少女たちの告白〈未〉』(12)、『白い沈黙』(14)、『ポイズン あるスキャンダルの秘密〈未〉』(18)などがある。
ロバート・バドロー(監督 / 脚本 / 製作)
ROBERT BUDREAU(Writer/Director/Producer)
ルーマニティ・プロダクションズ所属の監督、脚本家、プロデューサー。トロントとロサンゼルスを拠点に活動する。ジャズ界のレジェンド、チェット・ベイカーの転落と再生を綴る伝記映画『ブルーに生まれついて』(15)で知られる。同作は高く評価され、カナダではいくつもの映画賞を受賞した。長編デビュー作『That Beautiful Somewhere(原題)』(06)は世界中の映画祭で上映された。
ニコラス・タバロック(製作)
NICHOLAS TABARROK(Producer)
映画・テレビプロデューサー。自身の映像製作会社Darius Films Inc.はトロントとロサンゼルスにオフィスを構える。1998年より、20本以上長編作品をプロデュースし、商業的にも、評判的にも成功を収めてきた。ほとんど全作品が世界のトップ映画祭で上映された。手掛けた作品は『The Life and Hard Times of Guy Terrifico(原題)』(05)、『Hank and Mike(原題)』(08)、『Surviving Crooked Lake(原題)』(08)、『Weirdsville(原題)』(07)、『Coopers' Christmas(原題)』(08)などがある。ヴァラエティー誌の「見るべきプロデューサー10人」に選出されたこともある。
ジョナサン・ブロンフマン(製作)
JONATHAN BRONFMAN(Producer)
トロントに拠点をおく映画プロデューサー・実業家。長編映画やテレビシリーズのファイナンス・プロダクションに特化した会社JoBro Productions & Film Financeの創業者。携わった作品は、サンダンスで初上映された『パティ・ケイク$』(17)、サンダンスで監督賞を受賞し、高く評価された『ウィッチ』(18)、トロント映画祭で最優秀長編デビュー作を受賞した『Bang Bang Baby(原題)』(14)、オスカーノミネート経験のあるキム・グエン監督『ホワイト・ラバーズ』(16)、『ミーン・ドリームズ』(16)などがある。
ブレンダン・スティーシー(撮影監督)
BRENDAN STEACY(Director of Photography)
これまでに撮影を担当した作品は、アダム・マジー監督のスリラー『侵入者 消された叫び声』(15)、エド・ガス=ドネリー監督『ラスト・エクソシズム2 悪魔の寵愛』(13)、アニータ・ドロン監督『The Lesser Blessed(原題)』(12)、マイケル・マッゴーワン監督『Still mine(原題)』(12)、ロバート・ウィルソン監督『You Bury Your Own(原題)』(15)、Netflixシリーズ「Titans/タイタンズ」(18-)などがある。『スモールタウン マーダー ソングズ<未>』(10)はトロント映画祭で上映され、スティーシーは最優秀撮影賞にノミネートされた。テレビ、ミュージックビデオ、CMなどの撮影でも活躍し、多くの賞を受賞している。
リチャード・コモー(編集)
RICHARD COMEAU(Editor)
30年以上長編映画の編集に関わっている。編集を手掛けた『魔女と呼ばれた少女』(12)、『静かなる叫び』(09)、ケン・フォレットのベストセラー小説をリドリー・スコット製作総指揮でドラマ化した「ダークエイジ・ロマン 大聖堂」(10)などはアカデミー賞、ゴールデングローブ賞での受賞やノミネートされ、世界中の映画祭でも上映された。コモー自身も多くの受賞歴があり、カナダ・ケベックを拠点にする優秀な監督たち、ドゥニ・ヴィルヌーヴ、フィリップ・ファラルドー、キム・グエン、ルイーズ・アルシャンボールなどと一緒に仕事をしてきた。
エイダン・ルルー(衣装デザイン)
AIDAN LEROUX(Production Designer)
トロント大学で哲学、文学、建築の学士、コロンビア大学で理学修士を取得。その後、映画とテレビの美術に足を踏み入れた。「Bomb Girls(原題)」(13)、『Booky and the Secret Santa(原題)』(17)などを手掛け、『ブルーに生まれついて』(15)では、カナダ映画監督協会の最優秀美術賞を受賞。
リー・カールソン(衣装デザイン)
LEA CARLSON(Costume Designer)
ブリー・ラーソン主演のオスカーノミネート作品『ルーム』(15)で知られる。その他の衣装デザインを手掛けた作品は、『KIN/キン』(18)、『コロニー5』(13)、『もしも君に恋したら。』(13)、『テイク・ディス・ワルツ』(11)などがある。
スティーブ・ロンドン(音楽)
STEVE LONDON(Composer)
カナダ・オンタリオ州クイーンズ大学で音楽を学び、その後世界的にも有名なロサンゼルス・南カリフォルニア大学の映像・テレビジョン学科にて映画音楽のプログラムを受講。ロサンゼルスでの、著名な作曲家エルマー・バーンスタインやジェリー・ゴールドスミスなどから学んだ経験は、彼にとって映画音楽家として成長するために不可欠であった。『コピーキャット』(95)などでは作曲家クリストファー・ヤングと共に作曲。アカデミー賞ドキュメンタリー賞にノミネートされた『Chau, Beyond the Lines(原題)』(15)、『ブルーに生まれついて』(15)で音楽を担当。
ブラムハウス・プロダクションズ(製作会社)
BLUMHOUSE PRODUCTIONS(Production)
『パラノーマル・アクティビティ』(07)、『インシディアス』(10)、アカデミー賞脚本賞受賞『ゲット・アウト』(17)、『ハッピー・デス・デイ』(17)、『ハロウィン』(18)、『ハッピー・デス・デイ 2U』(19)、『アス』(19)、『透明人間』(20)など話題作を次々と世に送り出す映画プロデューサー、ジェイソン・ブラム率いる映画製作会社。ホラー作品以外でも『セッション』(14)、『ブラック・クランズマン』(18)などがアカデミー賞作品賞ノミネートとなった。