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セバスチャン・サルガド
地球へのラブレター
母なる地球(テーラ)に還る――。
ブラジル出身の写真家セバスチャン・サルガドは、30代から写真を撮り始めて以来40年間、120もの国々を飛び回り、人々の心を揺さぶるプロジェクト作品を数多く発表してきた。
モノクロを基調とする彼の作品は常に人間を捉え、死、破壊、腐敗といった根源的なテーマが扱われる。それらは写真と呼ぶにはあまりにも美しく荘厳であるがゆえに、サルガドは“神の眼”を持つ写真家とも称されている。
そんなサルガドが2004年から始めたプロジェクト「Genesis(創世記)」。地球上の最も美しい場所を求め、ガラパゴス、アラスカ、サハラ砂漠など世界各地で撮影された作品は、熱気球から撮られた水牛の群れ、遊牧民のネネツ族のシベリア横断、サンドイッチ諸島での“ペンギンの楽園”など、生と死が極限に交わる、誰も見たことがない圧巻の風景が写し出されている。
本作はこのプロジェクトに同行したサルガドの息子ジュリアーノとドイツ映画界を代表する巨匠ヴィム・ヴェンダース監督の2人のクリエイターの視点から、この偉大な写真家の足跡を解き明かしていく壮大なドキュメントだ。すでに各国の映画祭で激賞され、先日発表された本年度(第87回)アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞のノミネートも果たした。