ぼくと魔法の言葉たち

DIRECTOR-監督-

Roger Ross Williamss Roger Ross Williamss

1973年9月16日生まれ。ノーザンプトン・コミュニティ・カレッジとニューヨーク大学で学び、TVプロデューサー・演出家として活動を開始。マイケル・ムーアがホストを務めた人気TVシリーズ「TV nation」のプロデューサーを務めた他、ABC News、NBC News、CNN、PBS、Comedy Central、Sundance Channelをはじめとした放送局で15年以上にわたり活躍してきた。初監督(兼製作)した映画『Music by Prudence(原題)』(10)でアカデミー賞®短編ドキュメンタリー賞を受賞し、アフリカ系アメリカ人監督として初めてのアカデミー賞®受賞者となった。日本未公開の同作は、障害を持つシンガー、プルーデンスが貧困や人種差別に立ち向かいながらも音楽を楽しんでいる姿を描いている。2013年にはアメリカのキリスト教福音派の伝道師達がウガンダで行う布教活動の内実に迫った長編ドキュメンタリー映画『GOD LOVES UGANDA(原題)』を監督。同年のサンダンス映画祭でプレミア上映された後、60以上の各国の映画祭に招かれ、12以上の賞を受賞し、2014年のアカデミー賞®のショートリストにも掲載された。近作には、「ブラック・ピート」と呼ばれるオランダの伝統を追った『Blackface(原題)』(15)があり、同作は11月にプレミア上映され大きな物議を醸し、人種差別と奴隷制度についての国民的議論に拍車をかけた。現在は、インタラクティブ・メディア・プロジェクトの「Traveling While Black」や、米国で大きな社会問題となっている「獄産複合体」(プリズン・インダストリアル・コンプレックス)についての長編ドキュメンタリーなど、いくつかのプロジェクトが進行中。
最新作である本作は2016年のサンダンス映画祭でプレミア上映され、大きな称賛を浴び、USドキュメンタリー部門監督賞を受賞した。サンダンス・インスティテュートのアラムナイ顧問委員を務めており、発展途上国やマイノリティの映画監督たちに対し、どのように個人的な困難をアートに変えていくかといった指導を行っている。現在は、ニューヨーク北部とオランダのアムステルダムの2か所に拠点を置いている。

監督の言葉

私の映画は、いつでも“はみ出し者”を擁護してきました。だからこそ、私にとって映画制作はとてもエキサイティングな冒険なのだと言えます。『ぼくと魔法の言葉たち』で、私は奇跡の物語を伝えたいと思いましたが、何よりもオーウェンや、自閉症と共に生きる多くの人々を洞察するための空間を作り出すことを心がけました。オーウェンは実にユニークな人物ですが、中でも何に対してもオープンな人柄と実直さ、正直さは群を抜いています。彼の世の中の見方は特別です。なぜなら彼は、人間の行動を制約し、自発性を抑え込んでしまうような社会的な規範とは無縁だからです。神話と寓話の中に埋没した人生を生きることで、彼は世界を分析し、そうすることで人間のありように対して信じられないほど賢くて豊かな理解を得ることになったのです。
オーウェンがディズニー・アニメーションの物語たちから得たのは、深くて複雑で、インスピレーションに富んだ、とっても有意義な“世界の見方”です。私はオーウェンの頭のなかに入り込み、彼の視点で物語を語りたかった。この世界には、社会のメインストリームから外れた人たちを斜めに見る傾向があまりに多くあります。この映画は、そんなはみ出し者の一人を、細かく、それも内側から見つめ、そこから世の中を見渡すためのものです。
私にとって、『ぼくと魔法の言葉たち』の制作過程は、映画作家としてのボキャブラリーを広げ、オーウェンのユニークな世界の見方を映像と音に翻訳し、本当に特別な「個」というものをより良く理解するための手助けをすることだったのです。

── ロジャー・ロス・ウィリアムズ

ロジャー・ロス・ウィリアムズ監督:来日日記

3月4日(土)
監督到着

ロジャー・ロス・ウィリアムズ監督、東京に到着!過去に一度日本を訪れたことがあるそうですが、自身の監督作品のプロモーションでの来日は、今回が初めてのロジャー監督。宿泊する都内のホテルで宣伝チームと顔を合わせると、晴れやかな笑みを見せてくださいました。ラウンジのカフェでは日本茶を注文し、未知の味に興味津々。日本版のチラシを見せると「Cool!」と大変気に入ってくださいました。明日から、よろしくお願いします!

3月5日(日)

取材のために、東京・綾瀬にある学習支援施設、東京未来大学こどもみらい園を来訪。自閉症や発達障がいの子供たちが、それぞれ得意な工作や体操を楽しむ様子を見学したり、一緒にケーキにデコレーションをしたり、楽しい交流の時間を過ごしました。その後には、保護者との意見交換会も実施。ロジャー監督は、不安を持つ父母たちの声に熱心に耳を傾けました。更に、『ぼくと魔法の言葉たち』の主人公オーウェンが自閉症を抱えながらも自立の道を歩み、社会の一員として暮らしていることを紹介しながら、近年注目を集める概念“ニューロダイバーシティ(脳の多様性)”を尊重することの大切さを訴えました。

3月6日(月)

インタビュー取材がスタート!新聞、雑誌、WEBサイトとたくさんの媒体がいらっしゃり、ロジャー監督は作品に込めた思いを真摯に語られました。その日の取材が全て終わると、慣れない日本でのお仕事にちょっぴりお疲れなご様子。ディナーをした赤坂の趣ある料亭で、一日の疲れを癒しました。日本酒も嗜みながら、料理にも舌鼓。「日本食は量がちょうどよくていいね!」と、味だけでなく量もお好みのようでした。

3月7日(火)

監督ラジオ収録この日は、3つのラジオ局で収録がありました。さらに、お昼にはマスコミ試写会の会場を訪れ、『ぼくと魔法の言葉たち』を観にいらしたご来場者の皆様に挨拶をし、感謝の気持ちを伝えられました。夜には特別試写会に赴き、そこでもまたスピーチを行いました。

3月8日(水)
監督サイン

取材最終日となったこの日は、監督も大分リラックスしてインタビューに応じられていました。ランチには、無事に最後の日を迎えられたことを祝ってウナギを食べました。最後には宣伝チームと一緒にシネスイッチ銀座の前で記念撮影。「日本に来られてとても嬉しかったよ!『ぼくと魔法の言葉たち』が日本でもヒットすることを願っています。ありがとう」とロジャー監督。こちらこそ、5日間ありがとうございました!