ノー・アザー・ランド 故郷は他にない
- 2025年10月3日DVD発売
- 2025年2月21日公開
原題:NO OTHER LAND
2024年/ノルウェー、パレスチナ/アラビア語、ヘブライ語、英語/5.1ch/95分/G
Ⓒ2024 ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA
破壊される故郷を撮影し続けるパレスチナ人青年と、彼を支えるイスラエル人青年
敵同士であるはずの2人の “命がけの友情” が生んだ、奇跡のドキュメンタリー
イスラエル軍による破壊行為と占領が今まさに進行している、ヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地区<マサーフェル・ヤッタ>。
本作は、この現状をカメラに収め世界に発信することで占領を終結させ故郷の村を守ろうとするパレスチナ人青年バーセル・アドラーと、彼に協力しようとその地にやってきたイスラエル人青年ユヴァル・アブラハームの2人による決死の活動を、2023年10月までの4年間に渡り記録したドキュメンタリーだ。監督は、彼ら自身を含むパレスチナ人2人・イスラエル人2人による若き映像作家兼活動家たち4人が共同で務めた。「イスラエル人とパレスチナ人が、抑圧する側とされる側ではなく、本当の平等の中で生きる道を問いかけたい」という彼らの強い意志のもと危険を顧みず製作された。
スマートフォンや手持ちカメラを使用した、そこで暮らす当事者だからこそ捉えることのできた至近距離からの緊迫感みなぎる映像で、マサーフェル・ヤッタの住民たちが家や小学校、ライフラインを目の前で破壊され強制的に追放されていく、あまりに不条理な占領行為をあぶりだしていく。これは、<世界で最も解決が難しい紛争>とよばれるパレスチナ問題が過去最大の危機を迎えている現在こそ、決して目をそらしてはならない、知らないふりはできない現実だ。
しかし、本作が映し出すのはその惨状だけではない。バーセルとユヴァルという同じ年齢の青年2人が、パレスチナ人とイスラエル人という立場を越えて対話を重ね理解し合うことで生まれる奇跡的な友情と、ただ故郷の自由を願い強大な力に立ち向かい続ける人々の姿だ。その物語は感動的であるとともに観る者の心を強く揺さぶり、パレスチナ問題、ひいては我々の生きる社会全体を覆う<どうしたら人は分かり合えるのか?>という問いに考えを巡らさずにはいられない。
昨年2月に開催されたベルリン国際映画祭では、数多ある部門のプレミア上映のうち最も大きな盛り上がりを見せた1作となり、上映後には観客たちによるパレスチナ解放スローガンの大合唱と、割れんばかりの拍手喝采が巻き起こった。見事に最優秀ドキュメンタリー賞&観客賞をW受賞し、バーセルとユヴァルが揃って登壇し連帯を呼びかけた受賞スピーチは同映画祭のハイライトとして大きな話題を集めるも、イスラエル擁護の強固な姿勢を取るベルリン市長やドイツ文化省による本受賞への批判コメントが発表されるや大きな物議を醸し、多数の大手メディアで意見対立が勃発。監督らが殺害予告や脅迫を受け、身の危険にさらされるほど論争は今なお激化している。
しかし、本作はその後も世界各国の映画祭で熱い支持を集め、観客賞をはじめすでに61もの賞を獲得。全米批評家サイトRotten Tomatoesでは100%フレッシュと圧倒的な高評価を記録(数字は全て1/24時点)しており、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞の受賞最有力との呼び声も高い、いまこそ観るべき最注目のドキュメンタリーだ。



























COMMENT
年間見切れないほど多くの映画が劇場公開され、
たくさんの推薦すべき映画がありますが、
今作以上に推薦すべき映画を私は知りません。
たくさんの賛同すべき映画がありますが、
今作以上に賛同すべき映画は私にはありません。
これは遠く離れた隣人の歴史の一部ではなく、
今わたしたちのいる世界で現実として起こっていること。
無関心ではなく、理解と共感を強く求めるこの一本の映画が世界を変えることを、
久しぶりに強く願った。
今、絶対に観てほしい作品です。
池松壮亮(俳優)
知識や情報だけで人の痛みなどわかるはずがない。
この映画に少しでも興味を持った人がいるのなら、迷わずに見てほしい。
パレスチナの現状を決死の覚悟で届けようとした、命懸けの記録をどうか心に留めてほしい。
仲野太賀(俳優)
当たり前だがリハーサルも撮り直しも無いドキュメンタリーだ。
スクリーンに映し出されるのは、常に直面する余地の無い選択の数々と厳しい現実。観る者の心に葛藤や希望が乱雑に入り込んできて息が苦しくなるだろう。
しかし、それは彼らの「故郷」における現実に違いないのだ。
奈良美智(美術作家)
2018年夏私はイスラエル兵から銃口を向けられた。
立ち退きを迫られたパレスチナ側で撮影していた。それだけの理由で。
この映像に映る全てをしっかり受け止めたい。
有働由美子(アナウンサー)
映画は教えてくれる。イスラエルの暴力の本質は占領だ。
私達も無関係ではない。実際、私達の年金もイスラエルに投資されている。
怒りを感じたら行動しよう。
映画でバーセルが言う「水1滴ではダメでもしずくが続けば変わる」
私達もしずくになろう。パレスチナが解放されるまで。
空音央(映画監督)
住居を破壊し、井戸にセメントを流し込む入植者達の理不尽。
観る側にも相当な苦痛を強いる。だからこそ観るべき映画だ。
岩井俊二
理不尽で無慈悲な虐殺や戦争はガザだけではない。
パレスチナの民の受難と絶望。僕たちは目撃し続けている。
それなのに状況はもう何十年も変わらない。
この映画は告発であると同時に希望も示す。
一人でも多くの人に観てもらいたい。そして声をあげてほしい。
森達也(映画監督)
余計な装飾や解説を排した、無骨ともいえる生の映像。
そこに映し出された、パレスチナのあまりにも過酷な現実。
あの「10月7日」以前にして、このありさまだ。
何とかしなくてはいけない。
しかしいったい何ができるのか。
パレスチナ人とイスラエル人の映画作家の間に芽生えた友情と理解と信頼だけが、一筋の光のように思える。
想田和弘(映画作家)
僕は彼らをあっという間に忘れて暮らす。
そういう残酷さがこの映画のすぐそばにある。
そこから先を委ねられている。
奇妙礼太郎(ミュージシャン)
あなたの人生の中の90分間だけでいい、この映画のために立ち止まってほしい。
「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」はヨルダン川西岸地区で進行し続けてきた苛烈な人権侵害をかつてない臨場感で捉えながら、パレスチナ/ユダヤの2人の青年を通して、決して相容れないはずの魂を架橋しようとする。
国際社会で、街で、家庭で、ソーシャル・メディアで、さまざまに分断された私たちは、もういちど互いに橋をかけ合うことを夢見る。
七尾旅人(シンガーソングライター)
パレスチナの人々の土地を、尊厳を、そして命を、根こそぎ奪い去る、占領の不条理が、この映画に凝縮されている。
これを民族浄化と呼ばず、なんと呼べるだろう。
そして、問われる。この悲鳴に、無視を決め込む世界でいいのか――。
安田菜津紀(メディアNPO Dialogue for People副代表/フォトジャーナリスト)
イスラエル軍のブルドーザーが人々の営みを容赦なく破壊していく。
ここまで人間は非道になれるのか。と同時に、それに抗う彼我の友情がある。
私たちはただの観客か? 黙っていていいはずはない。
金平茂紀(ジャーナリスト)
パレスチナとイスラエルの和平は実現不可能なのか。
幾度となく潰えた希望を、今だからこそバーセルとユヴァルの友情に託したい。
増田ユリヤ(ジャーナリスト)
報道で見かける「占領」という言葉の向こうに存在する、生存権を剥奪される人々の姿を知る。
その第一歩のための命懸けの襷。
エンドロールの先で、更に悪化する占領と虐殺に世界はどのような態度を取るのか。
監督たちの眼差しはこちら側に向けられている。
どうか、知ってほしい。
ISO(ライター)
ヨルダン川西岸で暮らすパレスチナの人々の家を破壊するイスラエル軍。
子どもが泣こうと容赦せず、抵抗する者を銃撃する。
あまりに絶望的な状況を撮り続ける監督とユダヤ人ジャーナリストの友情に小さな希望が。
町山智浩(映画評論家)
今起こっている恐ろしい出来事を私達は「遠い国のことだから」とか「わたしたちには関係ない」とかつい言い訳をして目を逸らしてしまう。
だが目を逸らすという行為は、誰かから責められない程度にじんわりと戦争と虐殺を肯定していくことではないのか?
この作品にも、つい目を逸らしたくなることが詰まっている。
でも、私達はきちんと向き合わなければならない。
戦争を理由に、あらゆる暴力と不条理が肯定されてはいけない。
尊い命が奪われてはならない。
戦争と虐殺にNOを言わなければならないのだ。
吉田恵里香(脚本家・小説家/連続テレビ小説「虎に翼」、アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」)
若き映像作家にして活動家のバーセルとユヴァル。
相反する出自のふたりの命をかけた友情にパレスチナとイスラエルの和平を夢見てしまうのは、そこから遠く離れて暮らす者ならではの「お花畑」なのか。
そうではないと信じたい。
ならば、映画を観終えたら始めなければいけないことが、私たちにはあるはずだ。
松尾潔(音楽プロデューサー・作家)
私たちはこのあとどうなるかを知っている。
そして今この瞬間も、パレスチナの破壊と侵略が続いている。
祖父母の代から無視されてきた声をやっと聞き、何が起きてきたかを知った私たちが、どう行動するのか。
この映画が希望となるかどうかは私たちにかかっている。
坂本美雨(ミュージシャン)