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DAU. 退行

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2021年8月28日公開

原題:DAU. Degeneration

2020年 / ドイツ、ウクライナ、イギリス、ロシア合作 / ロシア語 / 369分 / ビスタ / カラー / 5.1ch / R-18+

Ⓒ PHENOMEN FILMS

前作『DAU. ナターシャ』は、序章に過ぎなかった――
「ソ連全体主義」の幻想を破壊しつくし葬り去る、
20世紀を総括する新世紀映画の金字塔
ダンテ「神曲」になぞらえた全9章6時間9分、圧巻の黙示録!

映画史上初の試みともいえる異次元レベルの構想と高い芸術性が評価され、第70回ベルリン映画祭で銀熊賞(芸術貢献賞)を受賞した映画『DAU.ナターシャ』は、本年2月27日にシアター・イメージフォーラムほかで世界初となる劇場公開を果たし、ミニシアター・ランキングの上位に長期に渡ってラインクイン。前代未聞の手法でソ連全体主義社会を赤裸々に描き出した異色作としてヒットを記録した。
そしてこの度、続編公開希望の熱い声に応えて、『DAU.ナターシャ』で描かれたソ連全体主義社会のその後の世界を描く、「DAU」プロジェクトの劇場映画第二弾、『DAU. 退行』が劇場公開となる。

ロシアの奇才イリヤ・フルジャノフスキーは処女作『4』が各国の映画祭で絶賛を浴びると、「史上最も狂った映画撮影」と呼ばれた「DAU」プロジェクトに着手。それは、いまや忘れられつつある「ソヴィエト連邦」の記憶を呼び起こすために、「ソ連全体主義」の社会を完全に再現するという前代未聞の試みだった。ウクライナの大都市で、かつてはソ連の重要な知性・創造性の中心地でもあったハリコフに欧州史上最大の1万2千平米もの秘密研究所のセットを作り、実にオーディション人数約40万人、衣装4万着、主要キャスト400人、エキストラ1万人、撮影期間40ヶ月、撮影ピリオドごとに異なる時間軸、35mmフィルム撮影のフッテージ700時間という莫大な費用と15年以上もの歳月をかけて「DAU」の世界が作り上げられた。
この途方もないプロジェクトの劇場映画第一弾として完成した『DAU. ナターシャ』がコンペティション部門で上映された第70回ベルリン映画祭の別部門で上映されたのが、本作『DAU. 退行』だ。
実に6時間9分にも及ぶ大長編であり、『DAU. ナターシャ』が描き出したスターリン体制下の1952年から10年以上が経過した1966年~1968年が舞台となる。この時代はキューバ危機の後、フルシチョフ時代を経て、スターリンが築き上げた強固な全体主義社会の理想は崩れはじめ、人々は西欧文化にも親しむようになっている。
前作ではカフェのウェイトレスであるナターシャの視点で閉鎖的かつ断片的に描かれた秘密研究所だが、本作では一転、カメラは研究所内部に入り込み、様々な人々の複雑な人間模様や共産主義社会の建造物をよりダイナミックに映し出す。
本作はイタリアの詩人・政治家、ダンテ・アリギエーリによる長編叙事詩「神曲」の「地獄篇」で描かれた9つの地獄の層にちなんだ9章で構成されている。本作で共同監督を務めたイリヤ・ペルミャコフ監督は、「国家が社会的に荒廃していく状況が迫ったときに、どのように気づき、対処するかを、映画という媒体を通して学ぶことはとても重要だと思います。本作は、権力の上層部が超過激派達と、どのように関わっているかという問題を扱っており、単に分析するだけでなく、これらの状況を見たときに皆さんに深く感じて欲しいのです」と語っている。
この超大作を観れば、第一弾『DAU. ナターシャ』をパズルの1ピースとする、「DAU」の広大な一枚絵が見えてくる。スタンリー・キューブリックの『時計仕掛けのオレンジ』やジョージ・オーウェルの代表作「1984」が描いたディストピアを現代にアップデートさせ、その先の深淵に迫ろうとするような鬼気迫る一大叙事詩は、このコロナ禍によって正当な評価を下されることがなく(米批評家サイト、ロッテントマトのレビューは2021年7月16日現在3つしかない)、また本国ロシアでは上映禁止となったいわくつきの作品である。だが、この日本では第一作目の『DAU. ナターシャ』が好評を博したことで、第二作目にして完結編ともいえる『DAU. 退行』が世界で劇場初公開となる。
ファシズム、優生学、性搾取、差別……人間の暗部を余すことなく抉り出し、現代社会への警鐘を鳴らす本作は、映画史の闇に埋もれてしまう前に評価されるべき傑作である。

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STORY

ソヴィエトのとある秘密研究所では、年老いた天才科学者レフ・ランダウのもとで、科学者たちによる「超人」を作る奇妙な実験が行われている。だがキューバ危機の後、フルシチョフ時代を経て、スターリンが築き上げた強固な全体主義社会の理想は崩れはじめ、かつては徹底的に管理されていた人々の風紀は乱れ、腐敗していた。しかし、そんな堕落を上層部が許すはずもなく腐敗を正すために、KGBのウラジーミル・アジッポが派遣される。彼は所長に「昔なら黙って銃を渡したが幸い時代が違う。いますぐ辞表を書くがいい」と迫り、彼自身が新所長に就任する。こうして研究所を監視下に置いたアジッポは、次第に特別実験グループと呼ばれる被験者の若者たちと親しくなっていく……。 

CREW

CREW
監督
イリヤ・フルジャノフスキー

1975年モスクワ生まれ。ボン美術アカデミーで学び、1998年にロシア国立映画研究所(VGIK)の撮影学科を卒業。2005年、長編デビュー作『4』でゴールデン・カクトゥスやロッテルダム国際映画祭のタイガー賞を含む、多数の映画賞を受賞。世界50以上の国際映画祭で公開され、イギリス、イタリア、オランダ、アメリカ、スカンジナビア、南アジアで配給された。 「DAU」シリーズは彼にとって二つ目のプロジェクトで、2006年から制作してきた。これは映画、芸術、人類学を組み合わせた学際的なプロジェクトで、撮影の過程では700時間以上のフッテージが撮影された。 プロジェクトの中から選ばれた素材の一部(音、アート、ストーリーなど)が、パリ市庁舎の支援を受けて、2019年初めにパリでプレミア上映された。人々を「DAU」の世界へ没頭させるこのイベントは、パリ市立劇場とシャトレ座という2つのパリの劇場で行われた。また、ポンピドゥー・センターでの展示は、「DAU」施設の雰囲気を再現し、施設内に住んでいた様々な人物たちも登場した。彼はまたヨーロッパ映画アカデミーとロシア映画監督協会両方のメンバーである。

共同監督
イリヤ・ペルミャコフ

ロシア出身のオーディオ・ビジュアル・アートディレクター。哲学の研究者としてキャリアをスタートさせ、マルティン・ハイデガーの哲学とパウル・ツェランとオシップ・マンデルスタムの詩に関する博士号を2003年に取得。2008年、ビデオアート作品「Gazing」で、第30回モスクワ国際映画祭のIXメディアフォーラムのグランプリを受賞。彼の作品は、MMOMA(モスクワ)やテート・モダン(ロンドン)などの美術館やアートギャラリーで展示されている。2008年から2012年にかけて、ペルミャコフは映画『Nazidanie(原題)』(ボリス・ユハナノフ監督)の共同脚本と編集を担当し、同作品は2017年のロカルノ映画祭でプレミア上映された。 2012年にDAUに参加し、共同監督、共同脚本、共同編集を担当。また、DAUアカデミックリサーチの責任者と DAUシンポジアのクリエイティブ・ディレクターも務め、数々の学術会議をリードしてきた。テーマは、「政治的神話の主人公たち:個人や集団はどのようにして歴史になるのか」、「極限との遭遇:信仰、暴力、そして解放を求めて」などで、イギリスの国会議事堂、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、王立協会、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス、フランス・パリのシャトレ劇場とヴィル劇場で行われた。 現在、歴史家のアレキサンダー・エトキンドと共同で、『Pharaohs of Modernity:An Intellectual History of Crypto-Communes』(仮題)という本を執筆中。DAUに関する初の解釈的学術研究で、過去の重要な科学的・政治的経験をまとめ、未来の差し迫った危険を警告する実験としてDAUプロジェクトを描く。

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